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【連載】おおふな百年さんぽ道<4・前編>

赤丸ポストにスポットを。

 よく「歴史はくりかえす」といいますが、近頃なにやら“昭和”がブームなのだそうです。なんでもレコードプレーヤーの新製品やカセットテープの復刻版が発売されたり、ほとんど見かけなくなった使い捨てフィルムカメラが若者に人気があるという話も耳にします。

ちょっと前の話になってしまいますが、大船の本屋さんでなんと子供の頃に夢中で読んだあの漫画「赤胴鈴之助」が単行本で、しかも5巻揃って平台に並んでおり、つい手にとって値段を見てはまたビックリ!『う~む、ちょこざいな!』と心の中で叫んで、そっと戻してしまいました。団塊の世代にとっては、うれしいというよりなにやら気恥ずかしい昨今でもあります。

 “赤胴”つながりということではないのですが、この夏、鎌倉の知人に触発されて大船地域ではあまり見かけなくなった赤い円筒形のポストを探してみました。懐かしいあの赤丸ポスト(私が勝手につけた呼称)の正式名称は「郵便差出箱1号(丸型)」というのだそうです。この丸型ポストの歴史は古く、すでに明治30年代には登場していたようです。当初は鉄で造られていましたが、第二次大戦中は物資不足により一時はコンクリート製になり、戦後の昭和24年(1949年)に再び物資の入手安定に伴い、デザインも改良し復活を遂げたようです。知人も私も赤丸ポストも同じ昭和24年の生まれ。親近感と同期生の今を知りたく、ネットの情報などをたよりに大船郵便局の管轄区域を巡ってみました。赤丸ポストは昭和44年(1969年)までの20年間しか製造されておらず、鎌倉市内ではまだ30本もが現役で使用されていますが、そのほとんどが鎌倉郵便局管轄区域にあり、ここ大船郵便局区域には6本(その内一本は栄区公田町)を確認することが出来ました。

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① 山ノ内・浄智寺入口

 まずはじめは鎌倉五山に敬意を表し、浄智寺の参道入口に立つ赤丸ポストです。ふだんよく前を通っていても、あまりにも当たり前すぎて何とも感じないものですが、改めて意識するとなかなか絵になっています。<フジカラー>の看板と赤丸ポスト、まさに昭和の名コンビといったところでしょうか。

ちなみにポストの足元の裏側には製造された年とメーカー名が浮き彫りされています。ほとんどのポストは何回も塗り直され剥離も激しく読みにくいものですが、なんとか「昭32 吉村製」つまり昭和32年に吉村というメーカーの製造では、と推理した次第です。来年めでたく還暦を迎える赤丸ポストです。赤い<ちゃんちゃんこ>は・・・もう着てますね。撮影時に偶然、郵便屋さんが取集に立ち寄り結構たくさんの郵便物をバスケットの中に。子供の頃はよく見かけたシーンですが、何十年ぶりかに見ることができラッキーなひと時でした。

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② 山ノ内・小坂郵便局前

 浄智寺から大船方面に向かい、北鎌倉駅前を過ぎていくと小坂郵便局の赤丸ポストが目に入ってきます。ここも周りの景色と一体化しており、つい見過ごしてしまいそうになります。鎌倉市中央図書館が所蔵しています「鈴木写真」の中にもこのポストが写っていましたので、同じようなアングルで見比べてみました。「そう、そう、郵便局はこんな建物だった。」と懐かしく思われる方もいらっしゃるかもしれません。製造年とメーカーは残念ながら撮影できず不明でした。

【鎌倉市中央図書館所蔵<鈴木写真>「小坂郵便局」昭和44年5月18日撮影】

 小坂郵便局から小袋谷のT字路を過ぎると、歴史的にも興味深い「水堰橋」にさしかかります。昭和40年代はこんな景色だったんですね。正面に見えるのは酒屋さんでしょうか、とても立派な建物です。

【鎌倉市中央図書館所蔵<鈴木写真>「小袋谷四ツ角」昭和41年7月18日撮影】

ここを右折すると旧鎌倉道・中ノ道に入り離山に向かいます。

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③ 成福寺裏 旧鎌倉道・中ノ道沿い

 横須賀線の踏切をわたり、名優・笠智衆さんが眠る成福寺から少し進んだ右手に、ブロック塀の窪みに隠れるように赤丸ポストが立っています。

足元には昭和27年に「昭和」というメーカーで製造されたことがはっきりと読み取れます。製造メーカーは、この「昭和」をはじめ浄智寺入口にあった「吉村」、それに「新東洋」といった会社が何社かあり、関東地方で使われているポストは埼玉県川口市の鋳鉄工場でつくられたものと思われます。  ~後編に続きます~

記事/写真 村川邦衛

デザイン  吉田紳哉

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バックナンバー

2016.04.04 【連載】<おおふな百年>さんぽ道〔3・後編〕
2016.03.03 【連載】<おおふな百年>さんぽ道〔3・前編〕
2014.12.11 【連載】<おおふな百年>さんぽ道〔2〕
2014.07.11 【連載】<おおふな百年>さんぽ道〔1〕

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