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【連載】おおふな百年さんぽ道<4・後編>

続・赤丸ポストにスポットを。

 今では全国的にも目にすることが少なくなった赤丸ポスト(正式名称は「郵便差出箱1号(丸型)」)。その大船郵便局管轄エリアで今なお健気に活躍をしているポストを紹介する続編ですが、いつものようにちょっと横道へ。

 近ごろではほとんど見聞きしなくなった「革命」という言葉を、つい最近続けて目にしたり聞いたりしました。ひとつはもちろん「キューバ革命の主導者・カストロ前議長」の訃報ですが、その2日前に新聞で『日本唯一の「革命家」とは』という見出しがあり、なんと鎌倉幕府3代執権・北条泰時(1183~1242)こそ日本で唯一成功した革命家であるという論考が注目されているという記事でした。泰時といえば、ご存知のようにここ大船とは関係の深い偉大な政治家。1237年に、泰時が奥さんの母親を供養するために「粟船御堂」を建てたのが大船五丁目にある常楽寺のはじまりで、本人の墓があることでもよく知られています。建長寺を開いた蘭渓道隆がそれ以前に、この常楽寺で禅を広めたことは今でも本村にお住いの方々が自慢にしているという話も聞きます。

 *注:右のモノクロ写真は「鎌倉市中央図書館所蔵<鈴木写真>「常楽寺参道」昭和40年11月21日撮影」です。

 さて、今回の本題である赤丸ポストに戻しますと、そんな古刹・名刹である常楽寺の参道入口から鎌倉街道に向かい、常楽寺交差点を直進すると4番目のポストがあります。(なんか強引な“前ふり”になってしまいました)

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④ 常楽寺交差点横

 こちらの赤丸ポスト、よく見ると他のポストとちょっと変わっていると思いませんか?そうなんです、ハガキなどを入れる差出口と郵便物を回収する扉の向きが異なっているという珍しいタイプのポストなのです。郵便ポストマニア(?)の間では「あっち向いてホイ」タイプと呼んでいるようですが、ま、言い得て妙といったところでしょうか。前編で記しましたようにこのタイプの赤丸ポストは、戦後の昭和24年から20年間にわたり製造されており、設計された時点から上部と下部との二段構造になっており、設置場所の状況によって上下の向きを変えることができるようになっていたそうです。おそらく、鎌倉市内にある30本の赤丸ポストでも、この「あっち向いてホイ」はこの一本と思われ、貴重な珍品といえます。

 ポストの足元からは昭和27年に「昭和」というメーカーで製造されたものであることが読み取れます。勝手に思い巡らすに、この道は大船駅方面と本村を結ぶ昔からのメインストリートで道路幅の割に交通量も多く、ポストの設置にあたり郵便物の収集業務にはこの向きのほうが適切と判断されたのでは、などと想像することもポスト巡りの楽しみのひとつなのです。

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⑤ 岡本二丁目・玉縄小裏門近く

 次の赤丸ポストは岡本二丁目にありました。JRの大踏切方面から戸部橋を渡り、柏尾川沿いに左折しパン屋さんの宝泉堂さんを大船フラワーセンター方面に向かって進むと右側に見えてきます。玉縄小の裏門近くと言ったらよいのでしょうか。このポストも前の「常楽寺交差点横」と同じ、昭和27年に「昭和」で製造されたようです。

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⑥ 岡本郵便局前・名残り石

 再び、戸部橋の方に引き返してくると岡本郵便局があります。こちらのポストは箱型の一般的なものですが、ちょっと足元に注目してください。でっかい鏡餅のような石は、以前この上に赤丸ポストが鎮座してましたよ、という紛れもない 証しです。いつごろから現在のようになったのかわかりませんが、台座石を残してくれた担当者に敬意を表したいものです。勝手に「名残り石」と命名させていただきました。

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⑦ 栄区公田・リサイクルショップ前

 最後は、住所としては栄区公田町になりますが、大船郵便局管轄のようですので仲間入りしていただきました。鎌倉女子大前を桂町方面に向かい「公田小入口」の信号を右に入っていくとこのポストがあります。以前はコンビニであったと思われるリサイクルショップの隅にあり、すっかり周りに溶け込んでいます。つい、店番のおじさんに「このポストって売り物ですか?」とボケをかましてしまいました。製造年を見たら昭和40年でメーカーは「新東洋」。これまでの赤丸ポストのなかで最も後期に造られたものでメーカーもはじめての会社です。なんか新種に遭遇したような気分になりうれしくなってきます。高度成長時代に、公田町の住宅街が開発されたころに設置されたのかもしれません。

このポストについては、横浜や湘南の気になる情報を取材しているWebマガジン『はまれぽ.com』でも取り上げています。

〈参考〉
 横浜で半世紀以上も現役の超レア「丸ポスト」を探せ![はまれぽ.com]
 http://hamarepo.com/story.php?page_no=1&story_id=3155

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赤丸ポストはレッドリスト?

 鎌倉市内にはまだ30本近くの赤丸ポストが頑張っていますが、前出の『はまれぽ. com』によると横浜市内には公田と元町の神社境内に設置されたわずか2本(2014年時点)しか残っていないとか。1970年以降は製造されていないわけですから、これからますます姿を消していくばかりで絶滅危惧種(?)ともいえます。そんな中で、比較的たくさん残されている鎌倉市は“赤丸ポストのガラパゴス”と呼んでもいいのかもしれません。

 同じように多くのレトロなポストが残っている東京都小平市は「丸いポストのまち こだいら」というキャッチフレーズで、丸型ポストの設置場所の地図をはじめ、日本一大きなポストを作ったり、2007年からは「丸いポストのある風景」というフォトコンテストを行っており、昨年は全国から約300点の応募があったようです。一時、閑古鳥が鳴く温泉街としてテレビなどで取り上げられていた熱海も、近頃は昭和レトロを懐かしく感じる中高年層や、逆に新しさ面白さを感じる若い世代と幅広いお客さんが押し寄せている話も聞きます。古いから捨てるのではなく活かす“知恵”が求められている時代のような気がします。どうですか、引出しの奥にしまいこんだ万年筆を取り出し、年賀状に一筆加えてみるとか。もちろん、ちょっと遠出になるかもしれませんが赤丸ポストに投函してみるのも、あわただしい年の瀬の息抜きになるかもしれません。

 前・後編にわたって歩いてきたさんぽ道「赤丸ポストに、スポットを」。昭和24年仲間で、浄明寺にお住いの酒向さんにご協力いただき鎌倉郵便局管轄内に設置されている中から「丸いポストのある風景」十五景をご覧いただき、さんぽ道のゴールとさせていただきます。

写真協力: 酒向義夫氏

記事/写真 村川邦衛
デザイン   吉田紳哉

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2016.04.04 【連載】<おおふな百年>さんぽ道〔3・後編〕
2016.03.03 【連載】<おおふな百年>さんぽ道〔3・前編〕
2014.12.11 【連載】<おおふな百年>さんぽ道〔2〕
2014.07.11 【連載】<おおふな百年>さんぽ道〔1〕

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