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大船〈松竹めぐり〉同行記

 

 当地域づくり会議の観光担当グループによる、大船地域の魅力を再発見し多くの人に知ってもらおうというイベントが6月26日(月)に行われました。大船といえば、やはり松竹大船撮影所があった街。2000年6月に撮影所は幕を閉じ、あれから17年という歳月に当時の面影を残すものはほとんど見当たらなくなってしまいましたが、掘り起こしてみれば僅かとはいえ貴重な足跡や往時のことを語ってくれる方がまだまだいらっしゃいます。

  この〈松竹めぐり〉ツアー。今年の3月に第一回目を行い、その時の反省点などを改善し今回の開催となりました。参加していただいた方は定員の20名。ガイドは、第一回目と同じ元松竹大船撮影所で撮影監督をされていた中橋嘉久さんを中心に、同僚だった撮影の熊谷秀人さんと照明の藤田繁夫さんの三名の皆さんに案内をしていただきました。

大船駅北口改札集合

 午前11時に、JR大船駅北口改札口前に集合。まずは、笠間口の大東橋を渡り、砂押川沿いに岩瀬方面へ。ここからは砂押川に架かる「松竹第六号橋」「松竹第五号橋」「松竹大通橋」を見学。これらの橋梁には「昭和拾(または十)年四月架」と刻印されたプレートが読み取れ、松竹映画都市(株)が分譲地として売り出した際に造られたものと考えられ、何度も補強されているとはいえ、いずれも歴史を感じる趣があります。かつてはこのあたりに著名な俳優さんたちやスタッフの方々も住んでいたということです。

 「松竹大通橋」を笠間方面に左折し「青木神社入口」の信号を左に曲がった所に中華〈でぶそば〉があります。映画「男はつらいよ」でおなじみの故・渥美清さんが大好きだったということで知られており、店内には写真や色紙が飾られ、半ラーメン・半チャーハン・半シュウマイの〈寅さんセット〉を求めて今も各地からファンがいらっしゃるそうです。ちなみに現在のご主人は二代目で、トレードマークの似顔絵と〈でぶそば〉の店名は先代に由来しているのだそうです。

 〈でぶそば〉を後にし、解体作業中の旧・資生堂大船工場横を通って再び砂押川沿いに向かいます。ここ砂押川プロムナードの歩道では、貴重な「松竹映画」のマークがデザインされたマンホールの蓋を見ることができます。おそらく松竹橋同様、分譲地の造成の際に設置されたもので、鎌倉中央図書館にも保存されていますが、使用されているものとしては唯一と考えられます。次に「松竹第二号橋」を渡ると川岸に石碑があります。この石碑の表には「贈 松竹大船撮影所落成記念」「櫻樹壱千弐百本」「昭和十一年四月十八日」と彫られており、裏には送り主である当時の在京新聞社10社の名が記されています。ガイド役の中橋さんたちによると、撮影所の中にはたくさんの桜の木があり、満開の頃は本当に華やいだ雰囲気だったそうです。そういえば、寅さんの妹は〈さくら〉さん。ちょっと関係があるかもしれませんね。この時に植えられた桜の木は、今でも砂押川の両岸に見ることができます。植栽されてから80年も経つ約100本の老木は、地元の「桜愛護会」の皆さんによって手入れされ、毎年4月には「桜まつり」も開かれています。「松竹梅」ならぬ「松竹桜」。もっと多くの人に知ってほしい足跡です。

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 〈松竹めぐり〉のツアーも前半が終了し、鎌倉女子大学大船キャンパスに向かいます。キャンパス内の図書館棟には、普段は公開をしていないので広くは知られていませんが〈松竹大船撮影所資料コーナー〉があります。ここには撮影所65年の歩みや、日本の映画史に残る名作の数々、それらを製作した城戸所長や小津監督をはじめとする名監督たち、そして日本中の銀幕を彩った女優さんたちが写真パネルで紹介されています。ツアー参加者の皆さんも、懐かしい映画のワンシーンやスターの話で盛り上がります。また、当時撮影に使われていたミッチェル社製の35ミリムービーキャメラがそのまま展示されており、熊谷さんによる撮影時の話やカチンコといった道具の使い方に皆さんも興味津々です。

 資料コーナーの隣には立派な視聴覚ホールがあり、休憩を兼ねて皆さんそちらに移動。中橋さんや藤田さんから撮影所時代のウラ話や、参加者から「もっとも綺麗な女優さんは?」「演技の上手かった俳優さん、下手な俳優さんは?」といった質問に「ここだけの話・・・」に盛り上がりました。  注:鎌倉女子大学内の「松竹大船撮影所資料コーナー」は一般公開をしておりませんのでご注意ください。

 ツアーの最後は、大正時代から昭和初期にかけ大船田園都市(株)によって開発・分譲された「新鎌倉」の一角に建てられ、鎌倉市景観重要建築物にも指定されている〈小池邸〉(昭和2年施工)です。紫陽花の向こうに見える山小屋風の玄関ポーチが、かつて大船を文化人が住む街にしようとした人々のおしゃれな感性をもの語っています。

 今回の〈旧・松竹めぐり〉ツアーはここで終了となり、希望者だけで前出の〈でぶそば〉と撮影所とは切っても切れないお蕎麦屋さん「浅野屋」に分かれ、それぞれ昼食をいただきながらご主人に「ここだけ」のお話をお伺いしました。尚、次回のツアーは10月に予定をしているそうです。


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記事/写真/イラスト 村川邦衛
デザイン         吉田紳哉

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