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「大船ちょっと昔展」をふりかえる(前編)

 

 去る2018年5月20日(日)、初夏の恒例行事となった「大船まつり」が行われました。週間天気予報などでは雨模様が心配されましたが、当日は青空が広がり早朝は風がちょっと冷たかったものの、パレードがはじまる頃はTシャツでも汗ばむ陽気となり、まさに“まつり日和”となりました。今年も、9万5千人もの来場者が訪れ芸術館通りを中心におおいに賑わいました。くわしくは、当ホームページの「15周年記念 大船まつり盛況!!(6月20日付)」をご覧ください。

「大船ちょっと昔展」とは

 今年で15周年を迎えた「大船まつり」。その記念イベントのひとつとして鎌倉芸術館との共催で、一階にある<ギャラリー2>と<ギャラリー3>をお借りし「大船ちょっと昔展」を開催しました。

 この企画の意図として、現在、大船駅周辺を中心に大きく変貌しようとしている中、15周年の節目に大船という街の昭和の暮らしや文化、風景などを振り返ることで地元愛が深まったり、これからの大船を考える際に忘れていたものやキーワードのようなものが見えてくれれば、という想いがありました。「大船ちょっと昔展」は大きく三つのコーナーで構成しました。<ギャラリー2>では「大船まつり15年の歩み」と「昭和の大船」写真展、<ギャラリー3>では「大船シネマ通り」の3コーナーです。

大船まつり15年の歩み

 まずは15周年記念ということで、第1回の「大船まつり」から今回までを写真で振り返ってみることを企画。「映画仮装パレード」がはじまった第12回(2015年)以降は、当「大船地域づくり会議」でも撮影をしており多くの写真はあるのですが、肝心の第1回目の写真は資料が実行委員会の事務局でも見つかりません。もしかしたらと思い、今は休刊となっていますフリーペーパー『鎌倉生活』の吉川さんに連絡をしたところ、第1回を特集したバックナンバーと写真を快くお借りすることができました。その後、整備事務所の移転に伴う引越しの際に偶然に第1回目のポスターやチラシが見つかり、何とかカタチにする目処がつきました。

 『鎌倉生活』の記事によると、2000年6月をもって松竹大船撮影所は64年に及ぶ輝かしい歴史に幕を閉じ、その広大な跡地は、ご存知のように三年の工期を経て2003年(平成15年)4月に鎌倉女子大学大船キャンパスとして甦ることになります。「大船まつり」はこの大船キャンパス開設をお祝いすると共に、街にかつての賑わいを再びという願いを込めて、2003年4月19日(土)に第1回目が取り行われたとのことです。プログラムも芸術館通りを中心に鎌倉女子大中等部・高等部のマーチングバンドによるパレードや、こども御輿、鳶職の皆さんによる木遣りや纏(まとい)振り、昔遊び体験、バンド演奏によるライブなどが繰り広げられました。尚、「芸術館通り」という呼び名はそれまで「大船停車場谷戸前線」と呼ばれており、この「大船まつり」を期に人気投票を行い「芸術館通り」に決まったようです。また、鎌倉女子大学大船キャンパスを一般の皆さんにも開放し、マーチングバンドによる演奏やパフォーマンスも披露されました。

 「大船まつり」は翌々年の2005年(平成17年)5月28日(土)に第2回目を行い、それから毎年行われ今年で第15回目を迎えました。社協だより「おおふな」によると第2回目の参加人数は約2万人、第6回(2009年)は4万5千人、第9回(2012年)~第11回(2014年)は6万から6万5千人と回を重ねるごとに増えてきました。さらに仮装パレードがはじまった第12回(2015年)からは知名度も大きく上がり9万人そして9万5千人という大規模な祭りに成長してきました。

「昭和の大船」写真展 ~写真家・鈴木正一郎氏からの贈りもの~

 昨年末に大船まつり実行委員長から、15周年記念催事のひとつとして「大船の写真展」を行いたいというお話をいただいた時に、まず思い浮かんだのは鎌倉市中央図書館が所蔵しています鎌倉市全域にわたる膨大な昭和の写真でした。 これらの写真を最初に拝見したのは2016年2月に鎌倉生涯学習センター地下の市民ギャラリーで催された今昔写真展「鎌倉を見つめた写真家たち-鈴木正一郎28年間の記録を中心に-安田三郎・皆吉邦雄の3人展」。タイトルにもあるように鈴木正一郎氏が撮影した写真が圧倒的な点数を占めており、彼の名前を知るきっかけにもなりました。

 鈴木正一郎氏(1924年~1986年)は会社勤めの傍ら全日本写真連盟に所属し、昭和32年(1957年)から昭和59年(1984年)の28年間にわたり仲間と共に鎌倉を訪れ、市内をくまなく歩きまわり、何気ない市井の人々や風景を写真に収めていきました。まさに高度成長期から大きく移り変わる「昭和の鎌倉」の記録を残してくれました。2012年にご遺族の方から鎌倉市中央図書館に約2万8千点にもおよぶネガフィルムや紙焼きプリントが寄贈されました。それらのネガやプリントには、撮影場所や年月日が明記されており『のちの世のために少しでも役立つことを願って撮り続けた鎌倉の記録です』というメッセージも添えてあったと聞きます。

 寄贈された貴重な鈴木正一郎氏の写真(通称、鈴木写真)を後世に残していくためには、劣化しやすいネガフィルムやプリントを最新のデジタル画像技術によって保存・整理し、多くの市民に知っていただくことが必要です。そのために、山ノ内在住の写真家・島村國治氏の並々ならぬご尽力がありました。今回の写真展でも島村夫妻には大変なご協力をいただきました。前述しました鎌倉生涯学習センターでの写真展では、鎌倉市内全域にわたる「今昔写真」が展示され圧倒的なパワーを感じていたのですが、今回は「大船まつり」ということで大船地域だけに絞り込むことで、深くじっくり楽しんでいただけることを展示のポイントとしました。「鈴木写真」には大船地域で撮影された貴重な写真も多く、展示会場のスペースのことや展示作業と後片づけの作業のことを考慮し、全部で48点の写真を選ぶこととなりました。エリア別に大船駅東口(4点)大船駅西口(4点)大船・高野(10点)岩瀬・今泉・今泉台(8点)山ノ内・台(12点)玉縄・岡本(5点)山崎・手広(5点)の展示となりました。

 「大船まつり」は、9時30分からパレードがはじまっていましたが、鎌倉芸術館は「オープンデイ」として様々なイベントが用意されており、全館11時の開館となっていました。今回の企画をした私の一番の懸念はやはりたくさんの方にご来場いただけるかということ。しかし、「案ずるより」なんとかと言うように開館とともに、ご協力いただいたスタッフの皆さんや私の想像を上回る多くのお客様がご来場され、ただただびっくりしながら来場者の対応にうれしい汗を流しました。これもひとえに『タウンニュース』紙が取り上げていただいたことが大きな要因と思い感謝をしています。

記事: 村川邦衛
写真: 小野勝彦
デザイン:吉田紳哉

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